研究概要 |
Rh式血液型各種表現型(R1R1,R1R2,R1γ,R2R2,R2γ,Roγ,R1【=!γ】,R2【=!γ】)について、抗Rh1,Rh2,Rh3,Rh4,Rh5血清をもちいて、それらの抗原量の相対的比較をした。Rh1(Rho,D)抗原についての凝集反応による解析では、R1R1,R2R2,R1R2,R1γ,R2γではスコアーに差は生じなかったが、R1【=!γ】,R2【=!γ】の赤血球は有意に低い値を示した。 これらの血液と市販の抗Rh1血清を用いてフローサイトメトリーで螢光パターンをヒストグラムでしらべると抗原によるdosage effectは観察されなかった。しかし、この抗血清を吸着解離により特異性を高め、更にプロティンAセファロースCL-40カラム(ファルマシア)でIgG分画にして抗原解析をおこなったところR1R1,R2R2,R1R2>R1γ,R2γ>R1γのような蛍光強度を示した。 ABO式血液型については、抗A,抗Bおよび抗Hモノクローナル抗体(ダコ社)を用いて抗原解析を行ったが、遺伝子の違いによる抗原量の有意な相異は認められなかった。実験に使用したモノクロナール抗体がIgMであるため最適な希釈濃度を得ることが困難であり、また抗原との結合比が一定ではないなど問題がある。本実験では赤血球が凝集すると正確な定量ができないため現在、動物免疫して得られた抗血清をFab'に調整しそれにFITCを結合させる直接法での観察を検討している。 白血球HLA型では、A2,B40抗原についてフローサイトメトリーを用いて抗原定量をおこなったところ、市販のA2特異性を示すモノクローナル抗体では定量性が得られなかったが、アロ抗血清をIgGに精製すると、遺伝子型の区別も可能になるという実験結果を得た。また、A2抗原が同種接合体のときにのみ細胞毒性をしめす抗体を発見し、その抗血清をフローサイトメトリーで解析したところ、細胞毒性と蛍光による抗原量解析のメカニズムの相違を分析できるような知見を得た。
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