研究概要 |
1).SVー40ori^-の複製開始点を欠失したウィルスDNAをトランスフェクトして, T抗原が発現し, 増殖能の高まった患者由来の培養皮膚線維芽細胞を作製した. SVー40ori^-DNAをリン酸・カルシウム法にて患者由来培養由来培養皮膚線維芽細胞にトランスフェクトすることによりトランスフォームした線維芽細胞を得た. この細胞からタンパクを抽出し, 抗T抗原単クローン抗体を用いて, ウェスタン・ブロッティングを行ない, この細胞にT抗原が発現していることを確認した. またトランスフェクトの前後にてもライソゾーム酵素活性に変化がないことを示した. 2).ゴーシェ病の欠損酵素であるβーグルコシダーゼのcDNAをSVー40のエンハンサー領域を持ったシャトルベクターpSVLに組み込み, 1)にてトランスフォームしたゴーシェ病患者由来の培養皮膚線維芽細胞にDEAEーdextran法にてトランスフェクトした. 72時間培養後ハーベストし, DNA,total RNA,poly(A)^+RNA,酵素タンパク試料を得た. トランスフェクトした細胞から得られたDNA,poly(A)^+RNAは, ドット・ブロッティング,サザン・ブロッティング,ノザン・ブロッティングのいずれにおいても高い発現をみた. またβーグルコシダーゼ活性は, トランスフェクトした細胞は, トランスフェクトしなかった細胞に比べて約5倍の活性増加を認めた. 3).同様の手技にて, ムコ多糖症VII型(βーグルクロニダーゼ欠損症)の欠損酵素であるβーグルクロニダーゼのcDNAを上記のシャトルベクターpSVLに組み込み, 1)にてトランスフォームしたムコ多糖症VII型の患者由来の培養皮膚線維芽細胞にトランスフェクトしたところ, トランスフェクトしなかった細胞に比べて約30倍の酵素活性の増加を確認することができた.
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