研究概要 |
従来のフィルム法と異なり、多層の断層像を一回の撮影のみで合成するシステムを作製した。 1.X線透視兼用断層撮影装置(日立製TU-2101L)に次の改良を加えた。(1)TV断層に際して、イメージインテンシファイアー(【II】)の螢光面が、フィルム面と同じ位置へ移動する機構を設けた。(2)X線管が【II】と平行移動するように、X線管の移動機構に上下動を加えた。(3)断層撮影中に、【II】の螢光量をフィードバックさせ管電圧を変化させた。これにより、X線入射角に応じて変化する被写体実効厚を透過するX線量を補正した。(4)走査線1024本の高品位TVカメラを設置した。(5)断層像合成装置による制御を行なうため、そのインターフェイスを作製した。 2.断層像合成装置を、32ビットのスーパーマイコンとフレームメモリー、マウスおよびTVモニターなどで構成した。 (1)TV断層の撮影から合成断層像の観察まで、全ての制御をコンピューターで行なえるようにした。(2)TV断層による透過X線像をフレームメモリーに実時間で収集し、約3秒/スライスの速度で合成した。(3)X線テレビ透視とほぼ等しいX線曝射で断層像がえられた。(4)3視野切替型【II】(9,7,4.5インチ)の拡大機能を利用し、目的部位を高分解能に撮影できた。 3.今後、以下のアプリケーションソフトウェアの作製や、臨床評価を行う予定である。 (1)Interentional radiologyにおける術前のシミュレーションと精度向上への応用。(2)肺,消化管などの小病変の検出能の評価。(3)経時的な断層撮影により静注した水溶性造影剤の臓器内動態を見て、機能解析を行なう。(4)多スライスの断層像を用いて合成処理を行ない、病巣あるいは臓器の立体表示や3次元的な計測法を開発する。
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