研究概要 |
X線TV透視とフィルム断層撮影を組合せに装置に改良を加え, これに断層像再合成を行うディジタル画像処理装置を開発追加して, X線TV断層撮影を検討した. (1)一回の撮影で蓄積した断層情報を利用して任意の断層像を再合成した. すなわち, 高品位のTV投影像を, 1024×1024マトリックスで1秒間に30フレームの高速度で収集し, これを用いて, 人体の任意の深さの断層像を1.2秒/スライスの高速度で再合成できた. 複数スライスを連続して再合成し, シネモード表示させることにより人体構造の三次元観察を容易にした. (2)従来のフィルム法と異なり, IIーTV系を使用しているために, 視野の大きさや解像度に限界があり, 視野周辺部の像の歪みも問題になった. しかし, 本法はTV透視を併用できるので視野は最大限有効に使用できる. なお, 検査部位として小範囲を対象とする時は, TV像の拡大モードを使用することにより, フィルム法の画質と同等の実用価値の画質が得られた. (3)postーprocessing処理により, 断層像の一部を局所的に傾斜した断面像を表示でき, 立体的把握が容易になった. (4)1秒間に30フレームのデータ収集するX線撮影を連続3回繰返し施行でき, 例えば血管造影など短時間内の経時的変化を断層像観察可能になった. (5)本法を, 例えば気管支鏡検査やinter ventional radiologyなどに利用すれば, 検査の精度が高められる. (6)以上は, 患者被曝線量の著しい低減につながる. 現在, 上述のように従来のフィルム法にない長所を活用し, 本法の短所が問題にならない領域で臨床経験を重ねつつある. 今後は, IIーTVカメラ系の視野と解像力の問題を克服する方法についても検討を進める.
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