研究概要 |
1.研究開始初年度はフィルムデジタル化装置,フィルムデータ記憶装置,画像データ処理装置の導入に初まり、これらの有機的結合による本研究遂行に適したシステム構築を行った。本システムによりX線フィルムをデジタル化して、光ディスク中にデータ蓄積し、モニター上に表示および画像処理は可能となった。4年間の研究対象である診断確定症例を大量デジタル化していくための準備として、容易にデジタル化可能なシステムを構成せんとした。即ち、患者ID入力をより実用的なものとし、フィルム周辺のデッドスペースを少なくするようにした。デジタル化のデータ圧縮比率は初年度は1:1とし、オリジナルデータから圧縮率を上昇させながら至適圧縮率を求めつつある。定型的なモデル材料として「じん肺エックス線標準フィルム のセットをデジタル化し、粒状影,異常線状影の再現性を検討した。その結果、デジタル画像は原版フィルムと同等の再現性があるのみならず、画像処理により、病巣部をより明瞭に観察可能な表示ができることがわかった。しかしこれらは既知病変を顕著化する方法論であり、パターン認識するための画像処理ステップを公式化して、未知の画像に対する処理方法を案出する必要性を痛感せしめた。 2.日常のX線フィルムの処理方法としてアナログ的なマイクロ化を行っている。その圧縮率は約1/60であり、圧縮像を直接デジタル化して表示観察したところ、大きな病変の認識ができる程度で、実用性に乏しいことがわかった。マイクロ化された画像のデジタル転送の必要性が将来発生すると思われるので、縮少された原画を拡大してA-D変換する方法を検討中である。この方法が完成すれば、すでにマイクロ化した大量データを必要な分のみデジタル化し、高精度画像のモニター表示,遠隔転送が可能となり、その効果は大きい。
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