研究概要 |
1.アルツハイマー・アミロイドおよびクロイツフエルト・ヤコブ病脳のアミロイド(クル斑)に補体Ciq,【C_3】,【C_4】の存在することを免疫組織化学的に証明した。この所見は上記アミロイド沈着に免疫機構の関与を示唆するものと思われる。 2.アルツハイマー・アミロイドに対するモノクローナル抗体の作成に成功した。このモノクローナル抗体の抗原は原発性アミロイドーシスのアミロイド組織よりプラス5(1968)の方法により得た"粗アミロイド蛋白"である。この抗体はELISAでは粗アミロイド蛋白と反応するが、免疫組組化学では原発性アミロイドーシスの脾のアミロイドと反応しない。この抗体はアルツハイマー・アミロイドと原発性アミロイドーシスのそれとの間に共通抗原の存在を示唆し興味深い。 今年度はこの抗体に反応する蛋白の同定を行なった。この蛋白は分子量約800〜1000KD、等電点約6.8であり、二次元目にSDJを加えた条件では分子量30KDのサブユニットを持つと推定された。 3.アルツハイマー・アミロイドの可溶化とアミノ酸組成の同定。 アルツハイマー・アミロイドは難溶で、化学分析,分離精製が困難であった。われわれは絹蛋白(β-蛋白)を特異的に溶解するED-Cu(エチレンヂアミン水酸化第二銅でアルツハイマー・アミロイドの可溶化に成功し、さらに透析により再合成にも成功した。この蛋白のアミノ酸組成を調べたところ、ミエリン塩基蛋白およびある種のヒストン分画のそれに類似することを見出した。現在、この二つの蛋白に対する抗体を用いて免疫組織化学を行なうとともに、アミノ酸配列の同定を急いでいる。
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