研究概要 |
下垂体摘除ラットにソマトメジンC(SM-C)をミニ浸透圧ポンプで7日間持続皮下投与(120μg/日)したところ、SM-C投与群では非投与群に比べて、体重および脛骨骨端軟骨幅の増加を認め、in vivoにおいてSM-Cが成長促進作用を示すことを認めた。更にSM-C投与ラットでは血中尿素窒素の低下を認め、in vivoにおいてSM-Cが蛋白同化作用を示すことが認められた。この成長促進作用・蛋白同化作用は正常ラットに比べ、下垂体摘除ラットでより顕著に認められた。又、下垂体摘除ラットにヒト成長ホルモン(hGH)を投与すると血中コレステロールは低下するがSM-Cの投与では低下せず、このhGHの作用はSM-Cを介さないと考えられた。正常ラットにSM-Cを投与すると下垂体重量が増加することを既に報告したが、本研究では下垂体のGH含量について検討した。下垂体1個当りのGH含量および下垂体抽出物中の蛋白1μg当りで補正したGH含量はSM-C投与群では非投与群に比べ増加していた(93.5±10.8vs34.9±4.3μg/下垂体,P<0.001;528.3±55.8vs310.3±23.0ng/μg蛋白,P<0.01)。蛋白1μg当りの下垂体のTSH含量はSM-C投与により変化しない事から、SM-Cがin vivoにおいて下垂体からのGH分泌を抑制すると考えられた。 SM-C10μgを静脈内に投与し経時的に採血し、血中半減期を計算した。下垂体摘除ラットでは14.1分,正常ラットでは195分であり、下垂体摘除ラットでは血中半減期は短縮していた。 ストレプトゾトシン糖尿病ラットに正常ラットで成長促進効果が認められた量のSM-C(120μg/日)を7日間持続皮下投与を行ったが、わずかなインスリン様作用、蛋白同化作用を認めたが成長促進効果は認められなかった。糖尿病ラットではSM-Cに抵抗性であると考えられた。
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