研究分担者 |
小沢 壮治 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (10169287)
上田 政和 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (50142419)
安藤 暢敏 慶應義塾大学医学部, 外科, 助手 (90101972)
石引 久弥 慶應義塾大学医学部, 外科, 助教授 (10051236)
清水 信義 慶應義塾大学医学部, 分子生物, 教授 (50162706)
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研究概要 |
組織修復におけるEGF・レセプター系の役割を明らかにし、細胞増殖因子の創傷治癒に対する臨床応用をめざして、本年度は(【I】)EGFレセプターの各種組織における発現(【II】)EGFレセプターと増殖能との関連(【III】)皮膚欠損創におけるEGFの効果を検討した。 (【I】)EGFレセプターの各種組織における発現を検討するため、手術時に得られた皮膚および肺組織と食道,胃,小腸,大腸粘膜をO.C.T compourdに包埋し、アセトンドライアイスで凍結後、-70℃で保存した。凍結切片を作成しEGFレセプターに対するモノクローナル抗体で染色すると皮膚および食道の基底細胞,傍基底細胞と肺末梢気管支の基底細胞層のみが染色され、胃,小腸,大腸粘膜ではいずれの例でも染色性が認められなかった。 (【II】)扁平上皮組織におけるEGFレセプターと増殖能の関連を検討するため手術時に得られた皮膚と食道粘膜をbroxiuridineを添加した培養液中で1時間インキュベートしたのち、70%エタノールで固定し抗BrdU抗体で染色すると両者のEGFレセプター染色パターンは同様であったにも抱らず、皮膚では主に基底細胞層に、食道粘膜では基底膜より二層目の傍基底細胞層にBrdUが取り込まれていた。以上(【I】)(【II】)の結果はEGF・レセプター系が扁平上皮組織の創傷治癒で重要な働きを有していることを示唆している。 (【III】)EGFの皮膚欠損創における効果を検討するため、モルモット背側に2ケ所の笈膚欠損創を作成し、一カ所をEGF投与創他方を非投与創とした。3日後と1週間後に創傷面の大きさを計測し、また創の組織標本を作成して投与創と非投与創について比較検討したが、両群間にはいずれの例でも有意の差を認めなかった。皮膚欠損創での創傷面の大きさは瘢痕収縮など増殖因子以外の要因が関与していると考えられた。
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