研究分担者 |
高橋 紳一 信州大学, 医学部整形外科学, 助手
木下 久敏 信州大学, 医学部整形外科学, 助手 (30177894)
和田 光司 信州大学, 医学部整形外科学, 助手 (70158690)
中田 和義 信州大学, 医学部整形外科学, 講師 (50115359)
大塚 訓喜 信州大学, 医学部整形外科学, 助教授 (00020892)
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研究概要 |
1.30体の晒骨標本を資料として加齢による骨格系の形態変化を研究した. 骨の容積減少を示す変化としてオステオポローシスによる脊椎の圧迫骨折, 関節荷重面の骨摩耗があり, 容積増加を示す変化として, 脊椎や関節の骨棘形成, 靭帯骨化が認められた. これらの諸変化は同一個体に合併して認められるので, 個体の骨容積総量は骨格系の経年変化のパラメーターとはなりえず, 容積減少量と増加量とを別々に評価する必要があることが示された. 脊椎に巨大な骨増殖性の変化を認める例は70才以降で頻度が高くなるが, 骨棘であるか靭帯骨化であるかの区別は必らずしも容易でないことも示された. 2.ヒトの背柱の組織学的研究により, 髄核が変性し, 椎間板の容積減少をきたし, 臨床的には椎間板狭小化をきたす一型と, 線維輪に連続して線維軟骨組織が増殖し, 臨床的には椎間板狭小化をきたさない一型があることがわかった. 椎間板狭小化をきたす群では脊椎の軟骨性終板の変性と軟骨下骨組織の硬化を伴ない, 滑膜関節における変形性関節症の類似のパターンであることが示唆された. 線維軟骨組織の増殖を示す群ではそれに近接する脊椎の補強靭帯の骨化がおこり, 強直性脊椎骨増殖症の初期変化であると考えられる. 3.成人検診時に撮影された3000例の脊椎X線像について, 椎間板狭小化と脊柱靭帯骨化の頻度について検討した. 椎間板狭小化はすでに20才代に始まり, 50才前後を界にして急速に頻度を高まり, 程度も進行するが, 60才以降はこの上昇曲線はゆるやかになる. 一方, 靭帯骨化の程度と頻度は40才以降一定の比率で上昇し, 前者のような鈍化傾向はみられない. よって両者は異なったパターンを示す骨格系の加齢変化の可能性があると考えられる. 4.後縦靭帯骨化症患者を発端者として家系調査を行った結果, 脊柱靭帯骨化は単純優性遺伝の可能性が高い.
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