| 研究分担者 |
渡部 智 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (40167127)
林 寿郎 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (90026089)
琴浦 良彦 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (50127081)
筏 義人 京都大学, 医用高分子研究センター, 教授 (00025909)
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| 研究概要 |
衝撃負荷をやわらげ, 優れた潤滑特性を有する関節軟骨の力学的特性を具備した人工材料を開発し, 新しい人工関節を開発する目的で研究を行い, 以下の実績を得た.
1.PVAハイドロゲルは軟骨に似た変形特性を有するが, その力学的強度の弱い欠点があった. 我々は高分子量のPVAを使用し, その含水量を90%から30%に迄減じ, アニーリングの方法を工夫することにより, 改良した.
2.改良された本材料の摩擦・摩耗試験を, ピンオンディスク装置および往復動摩擦試験器によって行い, 含水量29%のゲルの摩耗率mm^3/N・mは対照材料として用いたPTFEの約15分の1, HDPの約3倍の値を得た.
3.PVAハイドロゲルの厚さ5mmの膜と金属製円柱の間に形成されるスクィーズ膜の中心部の液体圧力を測定した結果, 負荷後長時間にわたって圧力が維持され, 荷重の多くが液体膜によって支えられることがわかった.
4.衝撃荷重を加えた際のピークストレスおよびその持続時間を検索した結果, HDPEより, PVAゲルはピークストレスも少なく, 持続時間も長く, 緩衝効果にも優れた材料であることを明らかにした.
5.家兎膝関節内にPVAゲルを埋殖した結果, 術後8週までの時点では毒性を認めず, 摩擦反応も軽微であることがわかった.
6.1.2.3.4.5.の結果から, PVAハイドロゲルは人工関節軟骨として極めて有望な材料であることがわかった.
7.本材料を骨に接着させるため, 多孔性アルミナ(有孔率40%)に本材料を含浸させることに成功し, その接着強度は現時点で1MPaであった.
以上の研究成果からPVAハイドロゲルは人工関節軟骨として有望な材料であり, 新しい表面置換型人工関節の実現に向って, 材科学的, 生物学的, 生力学的研究を鋭意行ないつつある.
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