研究概要 |
研究計画に従い1.ガスクロマトグラフ質量分析計による不活性ガス分析の確立2.Retention rateならびにExcretion rateよりVA/Q分布算出のためのコンピュータプログラムの作製3・従来のガスクロマトグラフによる犬での左右肺交互換気とVA/Q分布変化との間の関係について研究を行った。 Wagnerらの6種不活性ガスは、S【F_6】、エタン、サイクロプロペン,ハロセン,エーテル,ならびにアセトンよりなるが、Mastenbrookによると、エタンは眞空ポンプに由来する炭化水素に千渉されてS/N比が悪く、サイクロプロパンはエーテル、アセトンによる干渉が無視できず、またハロセンは生成されるイオン(CHBr【Cl^-】)がS【F_6】のm/e127に干渉するという。したがって、新らしい6種不活性ガスの系列;S【F_6】,クリプトン(Kr),フレオン12(Fr.12)、エンフレン,エーテル,アセトンを用い、ガスクロマトグラフ質量分析計QP-1000において、120℃-190℃の昇温分析下,Kr:0.7分,S【F_6】:1分,Fr.12:2.8分,アセトン:4.7分,エーテル:5.4分,エンフレン:5.8分の保持時間でそれぞれのピークを得、マスフラグメントグラフにて、それぞれm/e:84(Kr),85(Fr.12)127(S【F_6】),58(アセトン),59(エーテル),117(エンフレン)のピークで定量できることを確認した。ただエンフレンの低濃度では感度をあげるとノイズが大きく、S/N比が悪くなることに問題がある。Retention rateから【V!´】A/【Q!´】分布算出のプログラムは既にBASICを使用して確立しているが、本研究の眼目の1つであるExcretionrateからのコンピュータプログラムは目下FORTRANを使用して作製中でる。 従来の方法による交互肺換気の【V!`】A/【Q!´】分布に及ぼす影響を犬を用いた実験で行なったところ、予想した通り、正常換気から交互肺換気に移行しても、肺換気血流比の分布に著明な変化は見られない。これは臨床において、1側肺換気、ないしは左右肺別個換気の安全性を示唆するものである。
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