研究概要 |
1.腎の臓器可逆性に対する血管拡張性薬剤の作用 今年度は血管作動薬として拡張性のもの数個を選び, その作用動態を主として腎にしぼって研究した. 主に使用した薬剤はカルシウム流入拮抗薬と, ATPである. カルシウムは拮抗薬はその種類によって心臓系と末梢血管系への作用が違うので, 今回はディヒドロピリジン誘動体のカルシウム拮抗薬のニフェディピンとニカルジピンを比較した成績は少なく, この両者の効果を檢討した. 雑種成犬を2群に分け空気ーエンフルレン1.5%麻酔下い, ニフェデイピンとニカルジピンを各群おのおの5μg/Kg/分を中心靜脈より持続注入ポンプを用い100分間投与し, その間の血行動態を腎循環を中心として檢討した. 血行動態は大腿動脈にカニュレーションし動脈圧心拍数を, スワンガンツカテーテルによる心拍出量, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧, 右房圧などを測定しまたより複雑な心機能指数も計算した. 腎血流は左腎靜脈装着電磁血流計法,腎実質ことに皮質血流量を水素クリアランス法で測定した. 測定は投与前, 投与後15分, 30分, 60, 100分で実施した. ニフェディピンはニカルジピンよりも降圧作用は大きく, 短時間で降圧効果が発現するから, ショック時の治療効果は少なく見えるが, 腎循環に関してはニカルジピンより減少を抑制する効果がある. ニカルジピンは腎に対しては抑制度が強いが, 心拍出量など心機能増強力は強いので, 臓器保護の意味では相対的にニカルジピンの方がショック治療の過程では有用である. 2.ATPとDCA 投与法による臓器灌流動態は極めて大きく変動する. 代謝面におよぼす作用は研究中である. ディクロロアセテートは循環のみならず代謝にも有用で将来性を求めて檢討中である.
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