研究課題/領域番号 |
61440068
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
折笠 精一 東北大, 医学部, 教授 (60001004)
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研究分担者 |
福士 泰夫 東北大学, 医学部泌尿器科, 助手 (50189932)
鈴木 康義 東北大学, 医学部附属病院泌尿器科, 助手 (10163015)
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キーワード | 膀胱炎 / 感染防御機構 / 尿路感染 / 大腸菌 / マンノース / 繊毛 |
研究概要 |
細菌感染の第一段階は、細菌の上皮への付着であり、この段階に関与する因子の差が感染防御或は感染成立における個体差に大きく関与している可能性がある。これらの因子のうち、細菌側のものとして繊毛及び細菌の放出する微量物質、宿主側として尿中の微量物質について検討したのでこれまでに得られた結果を報告する。 まず繊毛に関しては膀胱炎の起炎菌となっている大腸菌に関して検討した結果、これまでのところでは、急性、反復性、慢性膀胱炎における細菌間において繊毛の保有率に有意の差を認めていない。この結果は文献上の報告と異なっており、尿採取法や発病後の日数、或は膀胱内での細菌増殖相の差によるものも考えられ、更に詳細な検討を必要とする。次に細菌由来の起炎物質については、内毒素が重要な位置を占める事を報告したが、今回は、細菌の産生する代表的な酵素であるヒアルロニダーゼとコラーゲナーゼについて検討した。しかし、一般の膀胱炎尿中に遊離されると考えられる量の数十倍の量(各々10ng/ml)をラット膀胱内に注入し、1時間後に観察しても走査電顕には明らかな変化を認め得なかった。 宿主側の因子として尿中に存在する微量物質のうち、今回はTypeI繊毛のレセプターとして重要なマンノースについて検討した。尿を脱蛋白、脱脂後濃縮し、これをHPLCにかけて還元糖を検出した。その結果、マンノースの含有量には個体差がかなり大きい事が判明した。しかしその絶対量は単糖としては多いもので0.002〜0.003%(W/W)であった。この量は文献的に大腸菌の付着を阻止し得る濃度より相当低い事から糖蛋白或はオリゴ糖としてのマンノースの存在の可能性、又、付着に関与するであろう他の物質、例えばガラクトースやN-アセチルガラクトサミン等との共同作用の可能性についても更に検討を進めている。
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