研究概要 |
本年は、MRIを中心とした合成機能画像を作成するための基本作業として、まず各種(X線,RIなどによる)の画像をコンピューターに入力し、立体画像を構成するための表示法の検討を行った。各種合成画像作成過程を検討した結果、腎の構造を明瞭に表示するには現在のところCT画像が最適であった。そのため基本立体画像はCTからのイメージを利用した。CTのイメージをコンピューターに入力し、左または右の腎を中心に考え、画像の拡大,回転を行い、目標とする腎が正面に位置する様に変換した。その上さらに3次元立体画像の表示法を検討した。すなわち、立体画像の原画像として、まずマニュアルによる輪郭描出法を利用した。しかし、(1)この輪郭描出では術者の主観が入ること、(2)輪郭描出まで時間がかかること、など、次の自動輪郭描出法を採用した。まず原画像の微分を行い、画像上、大きく濃淡が変化する点を表示し、臓器の輪郭とした。臨床上はほぼ実質臓器の輪郭表現ができた。さらに立体画像のコントラストによる臓器表示法として、脂肪,骨,実質臓器に色分け表示とした。これらのコンピューターにより自動輪郭描出,自動成分分析法は腎構造の形態的立体表示として最適であった。腎機能画像としてはMRIとRIを検討の対象とした。MRは実験動物(家兎)、健状人を利用した。MRIではガドリニウム-DTPA投与後経時的にT1を測定するパルス系列を選択し、このT1の回復過程より、腎機能画像を作成した。またMRIレノグラムからのパターン解析からも、腎の機能的構造変化の新しい次の情報が得られた。1)早期の腎機能低下、2)局所断面の腎機能、3)水腎症における機能回復可能性の診断、以上が診断可能であった。さらにGFR、RBFのMR機能画像も作成した。 現在MR造影剤の利用により、腎腫瘍,腎結石,水腎症,腎梗塞,腎孟腎炎における機能構造の分析を開始した。
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