研究概要 |
癌の増殖、血行性転移に関与すると考えられる血管新生因子(tumor angiogenesis factor,TAF)について、絨毛癌モデルを用いて検討し、以下の結果が得られた。 1)5種のヒト絨毛癌培養細胞株を用いた。 2)培養細胞株の異種移植による腫瘍の増殖は、腫瘍組織の視野当りの新生血管数と相関した。 3)新生血管数は培養細胞株の分泌するバイオアッセイによるTAF活性と相関した。 4)最もTAF活性の高い培養細胞株VeWoの培養上清を材料として、TAFの抽出を試みた結果、ゲル濾過で分子量10,000以上の蛋白分画に認められた。 5)更にTAFの部分精製を各種クロマトグラフィーで行ったところ、5.6倍の部分精製TAFが得られ、分子量30,000〜45,000の酸性蛋白質で、等電点が4.5〜6.5にあり、ヘパリン親和性を示さないことが判明した。 今後TAFが精製され、そのアミノ酸配列が決定されれば、バイオテクノロジーによる量産も可能となり、死因の上位を占める癌その他の疾患の、診断と治療に貢献するものと考えられる。
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