研究課題/領域番号 |
61440072
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野村 恭也 東京大学, 医学部, 教授 (30009948)
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研究分担者 |
菅澤 正 東京大学, 医学部, 助手 (00179110)
船井 洋光 東京大学, 医学部, 講師 (90142249)
喜多村 健 東京大学, 医学部, 講師 (90010470)
水野 正浩 東京大学, 医学部, 助教授 (10049059)
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 啓理部, 部長 (50012779)
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キーワード | 内リンパ水腫 / コルチリンパ水腫 / 岬角電気刺激検査 |
研究概要 |
1、単純ヘルペスウイルス(2×10^3pfu/2μl)を蝸牛窓経由で基底回転の鼓室階へ接種し次のような病変をみた。 (1)内リンパ水腫の形成 基底回転の鼓室階には線維化が著明であり、この変化は上方の回転へむかってもみられた。また線維化の一部に骨化のみられるところがあった。前庭膜は膨隆しており、いわゆる内リンパ水腫の状態であったが血管条は萎縮しており血管条の機能とは無関係に水分が蝸牛窓に入りこんで内リンパ水腫を形成したものと考えられる。内リンパ嚢附近には著変をみなかった。 (2)コルチリンパ水腫の形成 このような動物の一部にコルチリンパが膨隆した状態がみられた。網状膜を含めてらせん器の外側のみが残りいちじるしく膨隆したものである。有毛細胞、支持細胞は消失しており、水腫を示したらせん器内部は清明で細胞浸潤をみとめない。 2、昨年までで神経細胞の単一記録によってモルモットの聴覚閾値を測定できるようになった。しかし、この手技は急性実験でしか施行できないため、動物に難聴を作成することが前後の聴力変化を調べるには適していない。そこで慢性的に記録電極を硬膜外、蝸牛窓、および脳幹に植え込み、聴性脳幹反応を記録して聴力を測定する手技を開発した。これらの手法で閾値を決定すると単一神経記録による方法にくらべて10ないし20dB反応が悪いが、聴力変化を知には十分安定だった。 一方従来、岬角電気刺激検査(promontory)では聴性脳幹反応などの短潜時の反応はアーチファクトのため取れないとされていたが、(1)双極刺激を採用して、(2)記録を脳幹の左右差動で取るなどの工夫により、一次から三次までのニューロン反応を十分に記録できることがわかった。
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