研究課題/領域番号 |
61440078
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猪木 令三 大阪大学, 歯学部, 教授 (60028719)
|
研究分担者 |
赤井 三千男 大阪大学, 歯学部, 教授 (20028715)
前田 定秋 大阪大学, 歯学部, 助手 (00135732)
米原 典史 大阪大学, 歯学部, 助手 (70124534)
工藤 照夫 大阪大学, 歯学部, 講師 (10028805)
斉藤 喜八 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40110788)
|
キーワード | 歯髄刺激 / ブラジキニン / エンケファリン / サブスタンスP |
研究概要 |
本研究では歯髄刺激に対する末梢と中枢における各種反応を追求した。 1)歯髄に対する窩洞形成などの侵害刺激によりブラジキニン(BK)の産生がみられ、さらにBKはライソゾームのエンケファリン生産酵素を活性化してその産生を促して侵害刺激に対応することが明らかになった。また、BKの作用はトリプシン阻害剤で抑えられず、desーArg9ー(Leu)ーBKで拮抗され、EGTAにより抑えられた。BKのカルボキシペプチダーゼ、Bによる分解産物desーArg9ーBKおよびArgはBKより強い作用を示した。 2)モルモット三叉神経節より調製した神経膜には3HーLeuーエンケファリンの特異的結合がみられ、その量は延髄および脊髄と同程度であった。また叉神経節部の切片を用いたミクロオートラジオグラフィでは知覚神経の細胞体がその結合を示す粒子が多数観察された。以上の結果より、エンケファリンは三叉神経節において知覚伝達の調節を行っている可能性が示唆された。 3)歯髄電気刺激により三叉神経脊髄路核尾側亜核より著明なサブスタンスP、エンケファリン、セロトニンの遊離が認められた。しかしながらカルシトニン遺伝子関連ペプチド、サブスタンスK、カテコールアミンの遊離は認められなかった。刺激に伴うサブスタンスPの遊離はオピオイド、セロトニンにより抑制された。以上の結果より三叉神経脊髄路核尾側亜核ではサブスタンスPが歯痛伝達の主なメディエータであり、この遊離はオピオイドとセロトニンにより調節されることが明らかにされた。 以上、本研究の遂行により多くの新しい知見が得られ、今後の研究の大きな基礎ができたものと思われる。
|