研究概要 |
1.口腔癌の初診時・治療各時期及び術後経過観察時に得た末梢リンパ球におけるKillerリンパ球の動態を解析した結果、CD3^+4^-8^-リンパ球が口腔癌・唾液腺癌細胞に対して強い殺細胞効果を保有することを示唆する実験結果を得た。このCD3^+4^-8^-Killerリンパ球はNK非感受性口腔粘膜癌・唾液腺癌細胞に対しても強い抗腫瘍効果を発揮し、インタ-ロイキン2(IL-2)に反応して増殖し、更にIL-2或いはインタ-フェロン(IFN)-betaにより殺細胞効果の増強されることを示唆する実験結果を得た。2.ヒト唾液腺癌細胞(HSG)を移植して調製したヌ-ドマウス腫瘍系において、HSG細胞に対する単クロ-ン抗体とエフェクタ-細胞としてIL-2によりin vitroでヒト末梢血単核球より誘導したLAK細胞との両者を用いて治療した場合には、LAK細胞或いは単クロ-ン抗体単独で治療した時と比較して、より強い抗腫瘍効果を認めることを明らかにした。この場合、単クロ-ン抗体はLAK細胞が保有しているFcレセプタ-を介してAntibody-dependent cell-mediated cytotoxidity(ADCC)活性を発現していることを示唆している。なお、ヒト末梢リンパ球よりin vitroにおいてIL-2によりLAK細胞を誘導する場合、活性化された単球・マクロファ-ジが共存するとLAK細胞の誘導は抑制されることを示唆する実験結果を得た。また、IFN-α,βはLAK誘導を阻害するが、IFN-γはLAK誘導に影響を及ぼさないことを示唆する知見を得た。一方、IFN-α,βはNK、Killerリンパ球を誘導した。3.各種抗癌剤のうちでcis-platinumは、in vitroにおいてヒト末梢血単核球よりKillerリンパ球、LAK細胞を誘導することを示唆する実験結果を得た。この誘導されたkiller,LAK細胞を検索すると、大部分のKiller、LAK活性を保有するリンパ球は従来のLarge granular lymphocyte(LGL)の範疇に属する細胞であることが明らかとなった。
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