研究課題
昭和63年度は、妊婦、褥婦についてGSRと脳波を測定し、愁訴との関連を分析した。得られた知見は以下の通りである。1.GSRと愁訴GSR自発反射の出現数は、妊婦、褥婦ともにコントロール群より高値であり、特に褥婦で多かった。GSR刺激反射の出現数は妊婦が多く、慣れの悪いものも妊婦で多かった。妊婦、褥婦ともに、STAIの特性不安の得点が高い者は、MDT負荷前のGSR自発反射数が多かった。また、疲労の自覚症状が多い群は、MDT負荷前のGSR自発反射数が少なく、特に褥婦では、MDT負荷後にGSR自発反射数が上昇した。CMIがIII型の神経症傾向のある者では、GSR自発反射数および刺激反射数が多い傾向が認められた。2.脳波と愁訴妊娠前半期及び産褥期の者は、同様の傾向を示し、MDT負荷前、負荷後ともにβ波の出現率が最も高く、次いでα波、δ波、θ波の順に低かった。また、MDT負荷前と負荷後では、MDT負荷後にα波が減少しδ波が上昇した。妊娠6〜9カ月の者では、β波とα波がほぼ同じ値で高く、次いでδ波、θ波の順に低く、MDT負荷前後で各波の出現率はほとんど変化がみられなかった。妊娠10カ月の者では、β波とα波の出現率が高く、δ波とθ波の出現率は低かった。MDT負荷前後ではほとんど差はみられなかった。妊娠前半期は、疲労自覚症状は少ないものの、行動の変化、否定的情緒の愁訴が強かった。妊娠後半期は、疲労は少ないがMDTの一周描写時間が長かった。産褥期は、疲労自覚症状が最も多く、集中力の低下、否定的情緒、気分の高揚の愁訴が強く、MDTの誤描写時間が長かった。