研究課題
平成元年度は、30ー40代の成熟期から更年期に至る婦人について、MDT負荷前後のGSRと脳波を測定し、愁訴との関連を分析した。得られた結果は以下の通りである。1.MDTと愁訴MDT一周描写時間(ST)は、20代のコントロ-ル群に比べて30ー40代では長い傾向にあり、20代と30代で有意差を認めた。また、MDTプレ-ト型の出現率が、30ー40代ではコントロ-ル群に比べて有意に少なかった。MDQ愁訴得点の高い群ほどSTは長かった。2.GSRと愁訴GSR自発反射の出現数は、コントロ-ル群に比べて30ー40代で多く、30代ではMDT負荷前の出現数が多く、40代では負荷直後の出現数が多かった。また、GSR刺激反射の出現数は、コントロ-ル群に比べて40代のほうが少なかった。GSRと愁訴との関連をみると、状態不安が高い群では自発反射の出現数が多く、疲労自覚症状の多い群では自発反射が少ない傾向にあった。3.脳波と愁訴30ー40代は、コントロ-ル群に比べて全体にβ波の出現率が高い傾向にあった。MDT負荷前後の脳波を比較すると、コントロ-ル群ではMDT負荷後にδ波、θ波の出現率が高くなるのに対して、30ー40代では、α波の出現率が高くなる傾向にあった。脳波と愁訴との関連をみると、愁訴の少ない群ではMDT負荷前後で脳波各波の出現率の変化が少ないのに対して、特性不安、状態不安の強い群、疲労自覚症状の多い群では、MDT負荷前にβ波の出現率が高く、負荷後にα波、δ波の出現率が高くなる傾向があり、ストレス負荷により脳波各波の出現率の変化が大きい傾向がみられた。