研究概要 |
1.ガングリオシドGM3を基質としてGM2の合成に働くGM2合成酵素をラット肝の顆粒画分から各種クロマトを用いて約6,300倍にまで精製した. 本酵素は分子量約12万で, 64万のサブユニットからなるdimerであり, NeuAcのみならずNeuGcを含むGM3及びシアリルラクトースに働き, NeuAc(or NeuGc)or→3GalBI→4Glcの糖鎖構造に高い特異性をもっていた. 2.GM2→GM1の合成に働くGM1合成酵素をラット肝Golgi画分から新しいアフィニティクロマトを含むクロマトによって約10,000倍まで精製した. 本酵素の基質特異性は, 調べた限りGM2構造にのみ活性を示し, 他の糖脂質, 糖蛋白質, オリゴ糖は基質となり得なかった. 3.LacCer→GM3の合成に働くGM3合成酵素完活性測定の新しい方法を確立した. 酵素反応物をDEAEにかけ, 有機溶媒混液で中性糖脂質を, 次いで酢酸アンモンの段階濃度溶出によって酸性糖脂質相互を分離する. この方法では目的産物以外の標識化合物の混入はなく, 収量は95%以上であった. 本法は他の合成酵素assayにも適用できた. GM3合成酵素をブタ脾顆粒画分から可溶化し, イオン交換, アフィニティカラムクロマトにより部分精製を行った. 4.GM3→GD3の反応に働くGM3合成酵素はラット肝Golgi画分を可溶化後, DEAE, GM3-acid, CM及びCDPカラムクロマトにより部分精製を行った. 本酵素の活性化因子, 阻害因子(シチジンヌクレオチド)等による活性への影響を明らかにした. 5.上記の研究と関連して, セレブロシド硫酸合成に働くスルフォトランスフェラーゼをラット腎のGaigi画分から精製した. 本酵素はDEAE, calcer-acid, ゲル3過等のカラムクロマトにより, 約12,000倍まで精製された. 分子量は約6.4万で, 0.5〜10mMのCa^<2+>>Mg^<2+>>Mn^<2+>で活性1.7〜2倍上昇した. 本酵素はGalcer(100%)のみならずLacCer(120%)やGg3Cer(85%)にも働くので同一の酵素が, 腎では存在が知られているスルファチドの生合成を行っているとみられる.
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