研究概要 |
Lowe症候群に於てはヌクレオチドピロホスファターゼ活性が異常に昴進していること,また,二の昴進が酵素タンパク量に比例していることは前年度までの研究で明らかにされている. 本年度は酵素タンパク量の増大の原因を明らかにするために,本酵素の遺伝子レベルでの解析を行った. 先ず,ヒト胎盤から均一状態に精製したヌクレオチドピロホスファターゼをピリジルエチル化したのち,リジルエンドペプチダーゼで分解し,分解産物を高速液体クロマトグラフィーで分画した. 51個のピークが観察され,そのうち14個が均一であった. これらのペプチドのアミノ酸配列を決定したのち,プローブとして適当と思われるものを選び,対応する合成デオキシリボヌクレオチドを調製した. 一方,患者皮膚より得た線維芽細胞を培養し,mRNA画分を調製し,これより平滑末端をもつ2本鎖DNAを調製した. これをメチル化したのち,EcoRIリンカーに継ぎ,さらにλgt11に結合させた. これを大腸菌(Y1090γ株)に感染させ,増殖したコロニーを上記の合成プローブを用いてスクリーニングした. その結果,プローブとして用いた18マー,23マー,26マーとハイブリダイズする計8個のクローンを得た. そのうち,23マーとハイブリダイズしたクローン,λhー5とλhー6は約3kbのcDNAインサートを含み,両者のcDNAインサートのサイズは僅かながら異っていた. 18マーとハイブリダイズした2つのクローン,λhー7とλhー8のうち前者は約2kbのcDNAインサートを含んでいた. λhー8のインサート,および,26マーとハイブリダイズする4つのクローンの独立性,インサートの大きさについては現在解析中である. 今後,得られたクローンのインサートcDNAのヌクレオチド配列を決定する計画である.
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