研究課題/領域番号 |
61440092
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 寛 大阪大学, 医学部, 教授 (70019876)
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研究分担者 |
守家 成紀 大阪大学, 医学部, 助手 (40191051)
小笠原 直毅 大阪大学, 医学部, 講師 (10110553)
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キーワード | DnaA蛋白 / DnaAーbox / 枯草菌 / シュードモナス / ミクロコッカス / 染色体の複製開始 |
研究概要 |
1.DnaA蛋白とDnaAーboxの普遍性の検証;本年度は新たにミクロコッカス(Micrococcus luteus)のdnaA遺伝子の単離に成功し、その塩基配列の決定を終了した。その結果、ミクロコッカスマにおいてもdnaA遺伝子の上流及び下流の非翻訳配列中にはDnaAーboxクリスターが存在することが明らかにされた。従って、グラム陽性の大腸菌・シュードモナス、同陰性の枯草菌・ミクロコッカスにおいて、dnaA遺伝子とDnaAーboxの存在が検証されたことになり、両者の相互作用が真性細菌において普遍的に染色体複製開始反応の中心であるという、我々の提唱が基本的に証明されたと考えられる。同時に、dnaA遺伝子に対するDnaAーboxの配置及びその数が、予想以上に細菌毎に異なることも明らかになった。そうした変化が複製開始の制御様式にどの様に反映しているか興味深い。 2.枯草菌DnaA短白の機能と存在様式;本年度、(1)枯草菌dnaA遺伝子の温度感受性変異株の単離に成功し、非許容温度で複製開昭が特異的に阻害されること明かにし、枯草菌dnaA遺伝子が複製開昭に特異的に関与することを証明した。(2)枯草菌DnaA蛋白の精製系を確立し、精製蛋白がDnaA比boxに特異的に結合することを証明した。(3)精製DnaA蛋白に対する抗体を作成し、細胞内のDnaA蛋白を定量する系を確立した。(4)枯草菌内でdnaA遺伝子の発現を人為的に調節できるプラスミドの構築に成功した。このように、枯草菌DnaA蛋白の機能の基本が明らかにされ、今後、DnaA蛋白の細胞内での量と分布を染色体複製周期との関係で解析し、開始制御における役割を解明することが可能となった。 3.枯草菌複製開始装置の全体象;第二の複製開始遺伝子、dnaB、の産物の精製・抗体の作成を終了した。しかし、現在のとこめ、精製DnaB短白にはDNA結合等の活性が認められない。今後、その機能の解明が枯草菌での複製開始と制御の分子機構の解明の焦点となると考えられる。
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