研究分担者 |
佐々木 寧 埼玉大学, 経済短期大学部, 助教授 (90162388)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (30018048)
遠山 三樹夫 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70001435)
藤原 一繪 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (80018043)
奥田 重俊 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 教授 (00000141)
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研究概要 |
昭和62年度は前年度に引き続き, 北海道全域の植生を調査の対象として行なわれた. 野外調査によって収集された植生調査資料は約2500点に達した. また現存植生図および潜在自然植生図作成のための調査も平行して行なわれた. 植物群落は自然植生149代境植生37合計186の単位にまとめられ, 35のクラスのもとにシステム化が行なわれた. 北海道の植生はおもにブナクラスとコケモモ・トウヒクラスの植生で代表される. ブナクラス域では道南地方にブナ群落(チシマザサーブナ群集), その他の地域は海抜500〜600mまでの低山地がミズナラ群落(サワシバ・ミズナラ群集他)で占められている. いずれの植生域も過去百数十年に及ぶ開発によって, 二次林,植林,人工草地,耕作地等に変貌しており, 代境植生化がいちじるしく, 厳密な意味の自然植生は一般に報告されている程広くはない. とくにトドマツの植林はいちじるしく, かつて針広混交林とされていた森林は, ミズナラ林にトドマツの植林が混在した状態であることが各地で判明した. コケモモートウヒクラス域はエゾマツとトドマツの混生する針葉樹林であり, 大雪山を中心になお大規模に存在している. しかし, 他の地域では伐採によってダケカンバの疎林となっているところも少なくはない. 高山植生域は大雪山彙,日高山脈をはじめ, 知床, 利尻・礼文など特徴的な植生が良好な状態で温存されている. これらの成果をもとに, 保護保全すべき植生域の決定および都市や産業立地などの開発地域における, 緑豊かな環境の回復と創造のための地域固有の郷土林や環境保全林形成についての具体的な提案がなされた. 以上の成果は, 文部省研究成果公開促進費 601号により「日本植生誌ー北海道(566頁,別刷植生図6枚,群落組成表 至文堂発行)」として完成している.
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