研究分担者 |
小泉 淳一 島根大学, 農学部, 助教授 (00150334)
持田 和男 島根大学, 農学部, 助教授 (30032577)
森 忠洋 島根大学, 農学部, 教授 (20166359)
中村 利家 島根大学, 農学部, 教授 (80155845)
西上 一義 島根大学, 理学部, 教授 (90032408)
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研究概要 |
水界における微細藻類プランクトンの増殖に対する,他の水生生物の代謝産物による他感作用(アレロパシー)効果を中心とした,生態的制御機構について検討した結果,(1)大形底生藻類の中でも,アラメ,アミジグサ,ホンダワラ,ヨレモクなどの褐藻類の体成分には,微細藻類の増殖に対する強い阻害効果があり,これらの成分の多くは親油性の物質であることが確認された. (2)また大形水草に関しては,アマモ,エビアマモではこのような作用はカフェー酸が関与していることが推定された. (3)淡水域に生育するスイレン,ヒシなどでは,このような微細藻類の対するアレロパシー効果は,タンニン含量との間に強い相関が認められ,一方シュウ酸とはほとんど相関が認められなかった. (4)湖底泥から分離された系状菌50株について検討した結果,Aapergillus fumigatus,Cladosporium cladosporioides,Fusarium sp.などに,微細藻類に対する強い増殖阻害効果ならびに溶藻効果のあることが認められ,現在その生理法活物質について検討中である. (5)放線菌のNocardia amarae YK1による大腸菌に対する凝集誘導物質(FIX)とその機能発現に関して,被凝集菌の糖代謝産物との関係について解析中であるが,一方このような作用が微細藻類に及ぼす効果について検討中である. (6)細菌類については,これまでにEnterobacter aerogenesによる藻類増殖抑性物質(AGI)の産生が明らかにされており,今回その化学的特性について検討した結果,その熱安定性(50℃以下で有効,70℃で完全失効),カラムクロマトグラフ的挙動からは,この物質が糖を含有するかなり高分子の物質であることが推定された. また, 20〜80%硫安沈澱画分の凍結乾燥標品による微細藻類に対するスクリーニングによって9種緑藻,2種珪藻に対する増殖抑制効果が確認された. またこれに対して緑虫藻,らん藻に対する効果は認められなかった.
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