研究課題/領域番号 |
61440098
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 恒明 東京大学, 医学部, 教授 (60019883)
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研究分担者 |
豊岡 照彦 東京大学, 保健管理センター, 講師 (00146151)
倉智 嘉久 東京大学, 医学部, 助手 (30142011)
百村 伸一 東京大学, 医学部, 助手 (10190985)
松岡 博昭 東京大学, 医学部, 講師 (20111544)
飯塚 昌彦 東京大学, 医学部, 講師 (70010379)
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キーワード | 単一心筋細胞 / プリン受容体 / G蛋白サブユニット / ムスカリン性カリウムチャネル / アラキドン酸 / リポキシゲナーゼ / ロイコトリエン / プロスタグランジン |
研究概要 |
本年度の研究では、P_1プリン(アデノシン)受容体作用については、P_1受容体がG蛋白を介して活性化する心房筋Kチャネルの調節機構について、G蛋白α,γ各サブユニットのKチャネルに対する活性化効果と各々の特徴について検討し、また、P_1受容体やアセチルコリン受容体以外に、アラキドン酸代射産物がこのG蛋白ーKチャネル系を活性化する事を発見した。P_2プリン(ATP)受容体作用では、我々はP_2受容体が洞頻脈をおこす事を見い出しその機序について検討した。 (1)我々はG蛋白α,βγサブユニットは共にKチャネルを活性化しうる事を示した。更にαの活性化効果は無Mg^<2+>溶液でサブユニットを前処理すると消失するが、βγの効果は全く変化せず、各サブユニットによるチャネルの活性化はそれぞれ特異的な機構を介するものと考えた。その詳細について現在、検討中である。(2)我々はアラキドン酸の5ーリポキシゲナーゼ代射産物(おそらくロイコトリエン類)がG蛋白ーKチャネル系を活性化する事を発見した。5ーリポキシゲナーゼ代射産物は受容体の関与なくG蛋白を直接活性化するという経路が示唆された。アラキドン酸は細胞膜リン脂質より種々の受容体依存性、非依存性の刺激により遊離される事が知られている。従ってアラキドン酸代射物質によるG蛋白ーKチャネル系の修飾は種々の生理的・病態生理上重要であると考えている。(3)ATPはアデノシンに代射され,或いは直接P_2受容体を活性化し心徐脈をおこす。心臓を百日咳毒素で処理するとP_1作用は阻害され、P_2受容体が洞頻脈を引きおこす事が明らかとなった。P_2作用はネオマイシンで完全に、インドメサシンで部分的に抑制された。即ち、P_2受容体はフォスフォリパーゼCを介して1P_3やプロスタグランジンを産生し、洞頻脈を引きおこす事が判った。本年度の研究からロイコトリエンやプロスタグラジン等、アラキドン酸代射産物の重要性が注目される。
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