研究概要 |
1.今年度は雑誌論文の要旨目録の作成を主たる研究内容とし, まず, 1920年代の雑誌と「ソビエト音楽」誌の主な論文について, 目録カードを作成した. カードは本年度の研究実施計画にも記したように, いくつかのテーマに沿って論文をえらび, それについて作成した. (1)と(2)のアバンギャルド派(ASM)とプロレタリア派(APM)の対立から, 30年代初頭に関しては, ほぼ作業を完了した. (3)ソビエト音楽誌の発刊後については, とくに社会主義リアリズムと関連して, 芸術に対する政治の関与の仕方について, 実証的に論ずるための基本資料がそろってきたことを実感している. 中でも, ロシア国民楽派の音楽とソ連邦諸民族の音楽に関する論文については, ほぼ作業を終えている. この資料をもとに, 本研究のまとめとして, 30年代から40年代にかけてのソビエト音楽史についての論文を, 本学紀要のために準備している. 2.本年度の研究実施計画に記した(4)以下の, ショスタコービチをめぐる批判に関連しては, 論議がきわめて多面的に行なわれていて, まだカード作成の作業を終える段階には至っていない. このテーマについては, 改めて計画をねり直して取りくむ必要を感じている. 3.なお, 1920年代に関する資料は, 昭和62年度東京芸術大学修士論文(安原雅之)の作成に, ロシア国民楽派に関する資料は, 同じく昭和62年度東京芸術大学修士論文(一柳富美子)の作成に, 利用された.
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