研究概要 |
1.Tukuba情動系ラット(THEとTLE)とそのF_1,F_2,B_1,B_2を用いたランウエイ・テストの諸測度についての古典的遺伝子分析をさらに進めた結果、情動生の指標である脱糞数には♀では脱糞が少ない(TLE)側への優勢が見られ、♂では中間遺伝の特徴が得られた。出発潜時は移動活動量と類似の遺伝構築を持っていたが、のぞき時間とのぞき潜時では遺伝構築が異なっていた。 2.ランウエイ・テストの諸測度間に遺伝相関があるか否かについて、分離世代における相関が誤差相関と異なるかどうかに基づいて検討した。移動活動量・出発潜時・E区画潜時・脱糞数の4測度間、および移動活動量とのぞき潜時の間において遺伝相関の存在が示唆された。 3.ランウエイ・テストの諸測度の遺伝率・遺伝決定係数・それを支配する遺伝子座数について求めたところ、遺伝決定係数は♀では.2〜.4、♂では.5前後の値が得られ、遺伝子座数の最小推定値は♀で2〜4、♂2〜3となった。 4.シェルター付きオープンフィールドにおける行動分析が、ラットとマウスを用いて行われた。ラットではシェルターは安心感を与えるものであったが、マウスではシェルターは不安を起こすものであった。 5.ランウエイ・オープンフィールド・I迷路の3つの場面におけるラットとマウスの諸行動を測定し、主成分分析により因子を抽出した。「活動性」と「情動性」の2因子が抽出され、ランウエイ・テストはすくみ反応によって情動性を測定し、オープンフィールドでは逃避反応が生じており、I迷路ではラットは不安を起こしていないことが認められた。 6.ラットとマウスの穴掘り行動については、さらに多くの系統を用いた実験が継続中で、興味深い事実が得られつつある。 7.野外フィールドでのTsukuba情動系の適応の研究も継続中である。
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