『自閉児・発達障害児教育診断検査(PEP)』の病理性尺度と自閉症評定尺度(CARS)の関連を分析した。CARSの評定方法については、すでに開発されている「CARS評定尺度」記録用紙を用いた。 準備段階として、自閉症児50名を対象として、PEPの病理プロフィールとCARSの病理尺度を、同一の検査場面で異なる観察者5名に評定してもらい、比較した。 その結果、病理プロフィールで捉えられる5つの病理性の側面(感情表出、人とのかかわり、物とのかかわり、感覚、ことば)は、発達レベル7歳以下の設問課題によって捉えられるようになっているのに対して、CARSの場合には、課題との関係やコンテクストが入っておらず、さらに、検査者との相互作用のファクターが捨象できないところに難点があることがわかった。 そこで、PEP場面でCARSの評定が行なえるような形の記録用紙(CARSII型記録用紙)を用い、「状況による反応の変移」および「検査者との相互作用」について、埼玉県10市町村の自閉児について分析を行なった。 その結果、PEP場面でCARSの診断を行なうことによって、発達段階のファクターも並行してみながら、状況による反応の変移や検査者との相互作用を考察できることがわかり、PEPの病理尺度そのものを修正するよりも、CARS尺度を記録用紙に転記する段階でCARSそのものの評価もやっていく方式をとったほうがよいという結論になった。 今後は、青年期、成人期自閉症児、者の教育診断法(Adolescent and Adult Psychoeducational Profile)の日本版作成へとすすめて行きたい。
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