本研究の目的は、視知覚研究を行ううえで必要最小限要求される、眼球運動の測定に関して、測定の基礎となる時間的、空間的較正方法を確立することにある。眼球運動の計測、測定には様々のものがあるが、いずれの方法にも共通で必要とされる較正の手順を確立し、更にその方法論を用いてより精密な計測を行う必要があるとされている。その第一の課題はデータの線型歪曲成分の除去であり、いくつかの較正点により線型回帰を求め、原データの補正を行うことによってなされる。原理的には提唱されているが測定の実際で用いられることの少ないこの手法を確立させるのが本研究の具体的目的である。 本年度の実施計画は以下の通りであった。 1.眼球運動測定時に用いる高速GーDシステムの導入。 2.同GーDの制御用プログラムドライバーの製作。 3.EMCC法(Eye Movement Camera aided by Computer)による実際の眼球運動の測定。 4.同法による較正方法の確立。 5.上記手続による一般的較正補正式の決定。 本年度の研究実積はほゞ計画を全うした。1.については高速GーD(COMTEC2555)を導入し、既設のMELCOMー70110でIEE488で制御可能とした。2.に関してはASCIIーbinary CommandによるドライバーをGPIBライブラリー及びRTSP(Real time system package)を用いて260数種のサブルーチン群の作製によりほゞ完全に制御可能とした。3ー5は現在作業進行中であるが、3.はほゞ終了、4ー5は従来のEOG(Electro Oanlograph法)の手法を用いた較正手続きにより検討を行っているがほゞ満足すべき結果が得られており明年度に研究を引きつぐ。
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