研究課題/領域番号 |
61450017
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 多喜司 広島大学, 教育学部, 教授 (30033541)
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研究分担者 |
井上 弥 広島大学, 学校教育学部, 講師 (10201336)
南 博文 広島大学, 教育学部, 助手 (20192362)
石井 眞治 広島大学, 学校教育学部, 助教授 (60112158)
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キーワード | 環境移行 / 人間ー環境システム / 有機体発達理論 / 微視発生 / 個人的プロジェクト / 対人ネットワーク / 時間的展望 |
研究概要 |
昭和63年度においては、研究1「大学卒業に伴う人間ー環境関係の再体制化に関する研究」、研究3「大学卒業後の人間ー環境関係の再体制化に関する研究」及び研究4「大学入学に伴う人間ー環境関係の再体制化に関する研究」について、昭和62年度に収集されたデータを分析し、報告書の作成、及び学会での発表を中心に行なった。データの分析は、a)個人的プロジェクト、b)対人ネットワーク、c)時間展望の各々について多変量解析法を中心に実施された。主な結果は以下の通りである。1)個人的計画の変容:各被調査者があげた活動を、大学関係、職場関係、文化・教養・娯楽・日常生活に関する雑務などの7つのカテゴリーに分類し、各カテゴリーに含まれる活動の頻度、活動に対する意識、活動間の関係について分析した結果、大学関係の活動は移行後の5月に減少するのに対し、職場関係の活動は3月・5月と時期に伴って増加し、その後減少する。また、各活動に関する認知についても、移行後、大学関係に対する重要度は低下し、職場関係の活動に対する意識は、重要性、自分らしさ、価値観との適合性、関与度、具体性は移行後増加する。2)対人ネットワークの日米比較:日本の大学新入生では同性、同年齢、大学関係といった同質的なメンバーを主体とした現環境優位のネットワークが形成されているのに対し、米国の新入生では、移行前、後のメンバーの両方を含み、年齢の範囲も広く、異性を同性とほぼ同程度含む、異質で多様なメンバーからなるネットワークを形成していた。メンバーからの援助に関しては両国とも類似の傾向を示した。3)時間展望の変化:移行直後では、時間展望のスパンが短く、時間に追われ、職場が優位な構造を示すが、半年後には、展望も長くなり、また、職場以外の趣味の領域が生活空間に再登場するようになる。以上の結果は、第52回日本心理学会、中国四国心理学会、及び第24回国際心理学会議で発表された。
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