研究概要 |
1.研究経過 本年度は、上記研究課題に即して、労使関係が安定している日立電線KK日高工場を対象に選び、工場および組合や日立市の社会構造などについて、61年秋より各種資料収集に努め、62年2月下旬に同工場從業員の生活と意識(とくに会社・職場,組合,労使関係,家族,地域,政治などへの態度)に関する面接調査を実施し、目下鋭意整理・集計中である。 2.サンプルの構成 上記日高工場從業員400余名中311名(有効回収率76%)の構成は、年令別には20才台36%,30才台39%,40才以上25%と青壮年層が多く、学歴別には中卆10%,高卆41%,大卆36%とかなり高く、職種別には管理9%,専門・技術31%,事務9%,労務51%と、労職半半である。 3.工場・職場をめぐる態度 職場の人間関係や福利厚生政策への満足度はかなり高いが、賃金や労働時間についてはかなり低い。しかし、仕事にやりがいを感じる者は85%で、仕事観は生きがい志向と手段的労働志向に分極化する傾向がある。JKサークルへの参加はそれほど積極的ではなく、小集団活動にたいしてはかなり批判的な態度がみられる。但し、会社満足度は高い。 4.組合への態度 組合への関心度や満足度はかなり高いが(8割台),組合活動への積極的参加はきわめて低い。労使関係は対立よりも協調すべしとする考えが多い(79%)にもかかわらず、会社への対決を容認し(78%),「会社あっての組合」という意識は弱い(30%)。労使関係の現状にはかなり批判的で、なれあいとみる者が多い(61%)。從業員の意識は必ずしも保守的ではない。 5.そのほかの問題 現在の生活への満足度は63%とかなり高いが、くらしむきの評価と展望はやや否定的で、社会のしくみへの不満が強く(73%),政治への関心は高い。社会党支持者は6割をこえる。今後の課題は、以上の意識の特質が何によって規定されているか、その原因とメカニズムをより掘り下げて解明することにおかれよう。
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