研究概要 |
本研究では、住民自治組織としての町内会組織の構造分析と組織化過程における福祉活動との関連について明らかにすることを目的とし、道内12市19町村,道外1市(仙台市)、合計2700町内会を対象として郵送調査および町内会連合会に対する聞き取り調査を実施した。郵送調査の結果は回収票1867,内有効票は1833票,回収率69.2%である。理論的考察の結果としては集団の規模が小さい場合は(1)インフォーマルな性格が強くなり、住民相互の意志の疎過が容易であるという反面、(2)共同で具体的な解決を必要とする活動や金銭的な負担を必要とする問題には対応しにくく、(3)住民活動としての行事の運営は構成員が少ないと役割分担も多くなり、(4)参加者数も少ないことから、(5)リーダーの個人的魅力に支えられる性格が強く、それだけに会長の精神的・役割上の負担は大きくならざるを得ない。また町内会活動に対して住民が(6)新しい活動を考えようとしても財政上の余裕がなく会員の負担を増大させることにつながりやすく困難となる。また、(7)会長の負担を軽減しようとすると当番制となって会員の負担も世帯数が少ない分だけ大きくなり、積極的な取り組みは難しく、マンネリを生み出す構造を持つことになる。 一方、大規模な集団はフォーマルな性格を持つ集団になることを前提としているために、(1)役割分担は合理的になされる傾向があるが、大きくなるだけ(2)その集団内に利害を共通にする下位集団が発生しやすく、(3)運営上は組織の特徴を理解したリーダーが必要になってくる。特に(4)意志の疎通を図るための広報活動や役員集団の連携、下部組織の活性化を図る手だてが必要になってくる。特に情報の徹底や回覧の方法に工夫が必要になる。また(5)住民の一体感が弱くなり、運営も役員任せになりやすい。
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