研究分担者 |
高橋 満 長野大学, 産業社会学部, 講師 (70171527)
安井 幸次 長野大学, 産業社会学部, 助教授 (10133472)
山崎 匡毅 長野大学, 産業社会学部, 教授 (60096732)
天野 勝行 長野大学, 産業社会学部, 教授 (10090672)
野原 健一 長野大学, 産業社会学部, 教授 (10097470)
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研究概要 |
地方都市の存立構造のあり方は, 主要には, 地域産業構造の動向, 住民の労働・生活の実体-とくに住民組織や住民の生活問題が焦点となろう-. そして自治体の行政政策の展開の3者の要因, それらの相互関連によって規定される. こうした視点から我々は, 産業構造の総括的把握, 製造業を中心とする地域企業の存立基盤, 農業構造と兼業農家の労働・生活問題, そして単親世帯の生活問題, 住民組織の動向などをインテンシブに考察してきた. こうした研究から, まず, 地域産業構造の中核をなす製造業については, 「円高不況」や経営の「国際化」によって, いわゆる地方経済の空洞化と言われるような深刻な影響をこうむっていることが明らかとなった. また, 農業についても生産調整や農家労働力の流出・高齢化によって解体的危機を胚胎している実体がみられた. 地域不均等発展の矛盾が経済的基底のレベルで顕在化しているわけである. これに対して自治体の対応としては, 「自主技術開発型企業」の育成をめざしてテクノポリス構構や地域農政が展開されているが, それらが地域産業の再生・発展にいかなる寄与をなしうるのかは不明である. こうした中で, 不利条件家族や兼業農家の分析でもみたように, 住民の生活問題は先の労働条件の悪化にも規定されて様々な矛盾が顕在化していることも明らかになった. だが一方, 住民組織の状況をみると「地域づくり」のとりくみがみられるものの, 散発的で, 一過的なものにとどまっているのが現状である. 今後, 他の地方都市, 地方中核都市あるいは大都市の存立構造と比較しつつ分析することにより, いっそう上田市の地方都市の特質が明瞭になろうし, 地域問題の解決を展望するとき, 住民諸階層の動向に焦点をあてた分析が不可欠となろう.
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