音声情報処理システム(TSUKUBAFM)を用いて、女性アナウンサーの調音した日本語100音節を特徴抽出し、編集を加えてコンピュータにとりこんだ。100音節のそれぞれをプログラマブル・デジタルフィルタ(PDFー1024型)によって、オクターブ80dBのフィルタ特性で400Hz以下をcut offし、持続時間が450ms一定となるように切り出し、ラベリングをして格納した。加えて、キーボードの操作によって、音声切り出し編集装置(DANAC7000)で格納した音節を随意に、しかも瞬時にひきだして音声化することを可能にした。平均聴力レベルが103dBであり、日常的には、受発信に手話を、受信に口語を主要な交信メディアとしている成人女性(F.W.)の単音節(日本語直音67音節)及び「高天原(1 ta ka ma ga ha ra 1)」の音声サンプルを得て、それぞれの発語明瞭度を測定した。 デュアルチャンネルFFT アナライザー(B&K2032型)によって、「高天原」の韻律的特徴を分析し、その声性的特徴、基本周波数特徴及び時間構造に基いて、それぞれの音節の第1ホルマント以上をcut offし、デジタル化して格納した。このtakamagaharaの各音節における持続時間と空虚時間(closure duration)に、すでに格納されている母性アナウンサーの音節を重畳させ、キーボード入力によって、擬似的言語符号であるtakamagaharaを音声発信させた。 F.W.の【〇!1】自然音声(直音67音節)、【〇!2】自然音声(高天原)、【〇!3】擬似的言語符号(67音節)、【〇!4】擬似的言語符号(takamagahara)をキーボード入力→CRT上へのローマ字表示→D/A変換→スピーカによって音声発信させ、その聴きとり評価を行い、分析した。 本研究は、発語困難児・者のうち、重度聴覚障害者のみにとどまった。今後は、重度脳性マヒ児等に広げてゆく。
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