研究概要 |
1.東京160名, 愛知120名, 和歌山120名, 計約400名の児童について, ナイフ, ノコギリの使用技能(具体的には, 前者は鉛筆削り, 後者は木片の切断)を調査し, 次のことを明らかにした. (1)児童の道具使用技能の発達は, 小学三年生あたりで質的に変化することが明らかとなった. ナイフ使用においても, , ノコギリし使用においても, 一・二年生では比較的短い時間に仕上げるが, そのできばえの程度は低い. それに対し, 三年生あたりでは時間をかけてよりよいものを仕上げようとし, できばえもよくなる. さらに五年生では短時間に仕上げるようになり, できばえもよりよくなっている. このことは, 未経験者を含むときには成り立たないが, 学校などで道具使用の場が各学年に設けられている場合にははっきりと出てくる. 道具使用技能の発達における9【double plus】Aたりの質的変化を見い出し, 実証したのは本研究が最初であると思われる. (2)道具の使用方法は学校間の違いがきわだっていた. 学校での指導に大きく左右されていることがはっきりした. 現代では学校での指導が大きな位置を占めていることも明らかとなった. 道具使用法の類型は研究代表者が提唱していたものに近いことが実証された. しかし, その類型とできばえとの間には, 強い関連は見られなかった. (3)道具使用についての子どもたちの意識と技能程度との間には強い相関はなかった. 2.上記の子どもたちの生活背景的要因の分析のため, 上記の地域で小・中学生に対しアンケート調査を行った. 生活活動の地域差, 学年差が明らかとなったが, 道具使用技能には顕著な影響は見られなかった. 3.動作解析用のパソコンプログラムを開発したが, 試行にとどまり, 十分な分析を行うことができなかった. 4.道具使用技能の発達におよぼす要因を解明し, 技能の指導法を確立するのが次の課題である.
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