研究分担者 |
山田 兼尚 国立教育研究所, 第三研究部, 室長 (40000070)
屋敷 和佳 国立教育研究所, 第二研究部, 研究員 (70150026)
耳塚 寛明 国立教育研究所, 第二研究部, 研究員 (40143333)
藤田 正春 国立教育研究所, 第四研究部, 研究員 (10165392)
佐古 順彦 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (10000069)
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研究概要 |
昭和61・62年度両年度にわたる調査研究の結果の概要を以下に報告する. 1.へき地教育の教育的諸条件については, 例えば, 長欠児童が従前に比べて減少しているなど改善のあとがうかがわれるものの, 教職員の勤務条件や, 卒業生の高校進学になお困難があるなど, 一層の改善を要する課題も少なからず残されている. 2.へき地の地理的条件は, 主要な社会的諸機関へのアクセス時間が従来より縮小されているなどの改善がみられるものの, 地理的へき遠性はなお依然として大きい. 他方, 情報伝達手段はへき地にも一定の普及が認められるが, しかし文化的生活の機会にはまだ大きな制約が見られる. 3.へき地小学校の施設・設備については, 限られた条件の中でこれを有効に利用する工夫が様々になされているが, しかし施設の老朽化や, 複式教育に不適合な設備状況等, 緊急に改善すべき課題は多い. 4.へき地児童の特性には, ポジティブ・ネガティブ画面とも, 対人関係の狭さや集団の小ささから来る影響が認められる. 保護者については, 学校や地域への関心が高いのが注目された. 5.へき地小学校での学習指導については, 小規模であるがゆえの長所とともに短所も多く, とりわけ複式指導については教師に多くの負担が強いられている. 小規模性はまた, クラブ活動など特別活動にも影響している. 6.へき地校では, 小規模・複式教育のより効果的な実践をめざして, 様々な研究が取り組まれている. しかし反面, へき地教育の可能性や今後の発展方向については必ずしも統一的な見解は認められず, へき地教育は多くの困難をかかえていることがうかがわれた. 7.へき地教育の改善課題をめぐっては, とくに教員人事行政および教員の勤務条件の改善への要望が多かった.
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