研究分担者 |
河内 祥輔 北海道大学, 文学部, 助教授 (80013283)
井上 勝生 北海道大学, 文学部, 助教授 (90044726)
松沢 弘陽 北海道大学, 法学部, 教授 (10000655)
田原 嗣郎 北海道大学, 文学部, 教授 (50000550)
田中 彰 北海道大学, 文学部, 教授 (70000560)
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研究概要 |
次の3グループに分れて研究を実施した。 (1)国民的統合の歴史的前提の研究、責任者、田原。 (2)維新変革と天皇制に関する研究、責任者、田中。 (3)国民統合と天皇制に関する研究、責任者、永井。 3グループにおいて、今年度は史料の収集・調査を主体として研究を実施し、東京大学史料編纂所の維新史関係文書,外務省外交史料館の近代外交文書,国会図書館憲政資料室と歴史民俗博物館の政府高官文書,山口県文書館の近代政治史料,鹿児島県史編纂所の政治史関係史料の調査と収集を行った。 史料の調査と収集の中で、特色ある成果は、たとえば東京大学史料編纂所で収集した大島家文書,門脇家文書などの維新期に中央,在野で活躍した政治家たちの文書である。これは、従来、研究の及ぶことのなかった史料群であり、とくに旧対島藩士大島友之允関係文書を収集できたことによって、近代日本国家の形成と朝鮮問題・征韓論の係りが新しい視角から検討できることとなった。これにより、本研究の課題「近代天皇制の成立と国民統合」は一層広い視野から検証できることになった。同じく、国際関係と近代国家の形成との係りで言えば、外交史料館において「各国公使対話書」や「樺太談判一件」などを収集できたことも重要である。これも、まとまった史料でありながら、全面的には検討されたことのないものである。 国民統合の国内的要因に関しては、山口県文書館において、明治初期の山口藩と朝廷間の応接についての史料群、行政改革に関する一連の史料群を収集できたことも、次年度にかけて、より詳しい検証を行うための、重要な成果であった。従来の研究を着実に進展させるという側面と、広く国際的視野から新しい展望で研究を推進させるという側面と、両面において確実な成果を挙げた。
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