研究分担者 |
内藤 正典 一橋大学, 社会学部, 講師 (10155640)
鈴木 董 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (50162962)
古田 元夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (50114632)
山内 昌之 東京大学, 教養学部, 助教授 (80158071)
長崎 暢子 東京大学, 教養学部, 教授 (70012979)
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研究概要 |
本研究は, 従来のイスラム地域研究の中心たる中東アラブ地域や南アジアに加えて, 従来のアジア・アフリカ研究があまり顧みなかったソ連の中央アジア, 中国の新疆ウイグル自治区, 東南アジアのイスラム生活圏などイスラム世界の「周辺部」にも十分な関心を払いつつ, 各地域の社会・政治・文化変動とイスラムないし宗教一般とのかかわり方の特殊性ならびに通域的共通性を比較検討しようとする試みであった. また, 学際的な新しい「比較イスラム地域研究」の開発の起点をつくり出すことを目指す企てでもあった. 作業としては, 日本中東学会等のチャンネルをも役立てながら, わが国の関係分野・研究者の研究動向・研究成果の把握・整理, 資・史料の収集につとめつつ, 研究分担者は担当地域および自らのディシプリンごとに問題点を深め, 各地域の比較検討のための研究討議をすすめた. 分担者は, 地域研究の面では中国・中央アジア・インド亜大陸・東南アジア・中東・地中海・アフリカをカバーでき, 専門分野では歴史学, 国際関係論・人文地理学・比較文学などにわたる. 本研究の実施の結果, 各分担者ごとの知見や問題意識も深められたが, むしろ共通の関心領域が形成されることになったのは, 大きな成果である. 社会・政治変動とイスラムとのかかわりの実態面のみならず, それへの観点やアプローチの方法について多門的な討議の交錯が成り立つようになった. 社会と文化, ことに政治と宗教とのかかわりを研究する方法と視座におけるコンヴェンショナリズムの批判の必要性, および地域研究の枠組やプログラムを比較する「地域研究」群の比較研究の必要性が, 共通につよく意識されるようになった. このような課題意識の結晶化としてコロキウム「地域研究とオリエンタリズム」を開催し, ひろく関係研究者の参加を得て, 本研究の達成点を確認した.
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