研究概要 |
本研究では、研究計画に従って、今年度、主に次の三計画を実行した。(1)東北地方における貝塚の分布調査と基礎カードの作成。(2)内陸部貝塚の調査による基礎資料の確保、調査方法の検討。(3)北上下流域主鹹貝塚の予備調査。 (1)の資料作成は、約400貝塚の基礎カードを作成し、昭和61年10月29日から11月2日にかけて三陸貝塚の主要貝塚について踏査した。宮古市周辺から陸前高田市,気仙沼市から宮城県河北町にかけての貝塚のうち、25遺跡について記録をとることができた。調査で、記録カードを作成し、それぞれの貝塚の保存状況,規模,立地条件,時期について可能な限り詳細な記録をとった。この踏査によって、当地方の貝塚が著しい破壊状況におかれていることを認識した。本研究で実施した記録作成が他の貝塚についても早急に進められなければならない現状にあり、今後可能な限りこのような踏査を行っていく。 (2)の計画事項については、昭和61年8月1日から31日にかけて、宮城県田尻町中沢目貝塚の発掘調査を行い、基礎資料の確保,調査方法の検討を行った。この調査では、縄文時代晩期初頭の貝層,ブロックを約200枚採取し、現場で1mm,5mmの金属節にかけて水洗処理する試みを行った。その採取資料の整理をアルバイトなどで進めているが、内陸部における生業活動を解明していく上できわめて質の高い資料をうることができた。 (3)の計画では、(1)の調査にもとづき、(2)の中沢目貝塚との比較貝塚として宮城県桃生郡河北町皿貝貝塚を1候補地として検討することとした。そのため、本貝塚の形成された時期,貝層のひろがり,厚さ,保存状況を把握する予備調査をくり返してきた。測量図面の作成を現在検討している段階である。
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