研究分担者 |
小峯 和明 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (70127827)
新藤 協三 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (80007161)
渡邉 守邦 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (00074930)
福田 秀一 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (80044725)
長谷川 強 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (00039942)
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研究概要 |
当初の目的である調査対象寺院台帳の作成は, 近年, 寺院の蔵書目録の刊行や地方の県市町村史の編纂が活発であり, 情報量が予想以上に増大しており, 少しく予定より遅れてはいるが, ほぼ全国の主要な寺院に関する台帳が作成できる見込みがついた. 第二に寺院関係所蔵目録の調査収集は, 寺院の所蔵目録の刊行が年々進んできており, 当館の調査によって対象寺院の目録が作成される場合も出てきている(西教寺・西円寺など). 特に今年度は, 真福寺大須文庫所蔵の文政年間の蔵書目録を全冊撮影することができた. 近世に作成された目録自体, 奥書等まで記録した詳細なもので, 貴重な資料として重視される. また, 東北の仙岳院の聖教類の目録コピー(天台宗宗典編纂所作成)を入手し, 調査上の多大な便益となった. 第三に各寺院における日本文学関係資料の所蔵把握としては, 調査を実施できた寺院は廬山寺(京都)・禅林寺(京都)・金剛寺(大阪)・真福寺(名古屋)・宝山寺(大阪)・吉水院(吉野)・東大寺図書館(奈良)・聖運寺(愛知)等々, 西日本地区(特に関西)であり, 様々に貴重な資料の発見があり, 国文学研究資料館による本格的な調査への確かな手掛かりを得ることができた. その反面で人手不足や典籍への無関心, 保存管理の不備などから外部の者の立ち入りを拒む寺院も少なくない. 非公開主義や秘密主義による資料の死蔵が依然として大きい問題として立ちはだかっていることを再認識ざるをえなかった. 以上, 前年度の実績をもとに着実に成果をあげえているが, 保存管理の不備や外部への流出など, 資料の欠損喪失という危機的状況が進んでおり, 早急な調査の必要性を痛感するものである.
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