研究分担者 |
中地 義和 東京大学, 教養学部, 助手 (50188942)
高辻 知義 東京大学, 教養学部, 教授 (80012467)
蓮實 重彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (30012454)
阿部 良雄 東京大学, 教養学部, 教授 (60012465)
滝田 文彦 東京大学, 教養学部, 教授 (30012264)
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研究概要 |
61年度の研究業績は、大別して次の三領域に分けられる- 1)ダダ・超現実主義運動を準備した19世紀以降の芸術各分野における動きの考察。 2)1930年代の超現実主義運動のなかから生まれた絵画の新しいレアリスムの解明(主としてバルチュスをめぐる)。 3)西洋前衛運動の日本における採取・展開の研究。 1に関する成果としては、マラルメの演劇観についてパリ第四大学で行なった発表に基く渡辺の論文,蓮實のアクシム・デュ・カン研究,中地のランボー『地嶽の一季節』に関する二論文(外国語科紀要/仏語仏文学会機関誌)などがある。2の具体的成果としては、阿部編『バルチュス』(白水社)における阿部,渡辺の論文と翻訳。3に関する主な成果は、パリのポンピドゥセンターで開催された「前衛の日本」展の企画に参加した阿部,渡辺,蓮實の三名が、そのカタログにそれぞれ、「日本におけるダダ・超現実主義芸術の移入」,「映画におけるヨーロッパ芸術の消化」,「日本の新劇運動」に関する論文を執筆した。また、1986年8月ワシントンで開催された国際美術史学会において、阿部が「近代日本の美術史的思考の発足時点におけるヘーゲル的歴史観の導入」をテーマとする発表を行なった。 全般的に見て、今年度は3の領域での成果が特に豊かであった。なお、1〜3のいずれにも属さないが、本研究に関連する業績として、ベルクのオペラ『ルル』に関する渡辺の論考、蓮實の映画監督論(ブレッソン.グリフィス)、また、フランス現代哲学の翻訳-フーコー『性の歴史【I】』(渡辺訳)、バタイユ『エロティシズムの歴史』(中地-共訳)など-がある。
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