研究概要 |
1.第22〜28回衆議院議員選挙(1946〜58年)で選出された保守議員の出身・経歴・会派等の基礎的データの整理をおこなった. 典型的「保守王国」である静岡県については, 第29〜30回(1960〜86年)までデータ整理を進め, 戦後保守体制の成立とその構造的特色ならびに保守合同後現在にいたる保守体制の再編と安定化について分析をおこなった. 2.自由党本流の「吉田学校」官僚政治家グループ, 自由党鳩山派グループ, 改進党系グループの代表的政治家について, 現地調査を含め出身・経歴・政策・パーソナリティー・選挙基盤などについて検討を進めたが (1)党人派グループは公職追放解除後政界に復帰するが, 戦前の大正期から昭和初期における立憲政友会, 立憲民政党(憲政会)当時の活動との関連を無視しえず, 戦後保守思想に接続していく<近代日本のリベラリズムとナショナリズムの構造>についても歴史的分析をおこなった. (2)官僚グループについては, 戦時下革新官僚グループとの継続あるいは断絶関係に注目する必要があり, 戦後民主化と戦争責任の問題とも関連して, 15年戦争期から戦後冷戦体制期にかけての国家体制と国際関係の構造関連に留意して, その政治構造・指導の特色を分析した. 3.戦後保守体制の成立は革新総力との対抗関係のなかで進展するが, それは国内政治の民主化あるいは「逆コース」のみならず, 対米・対ソ・対アジア政策という外交問題が大きな焦点となっており, この点対中国政策の歴史的変遷にしぼって分析した. 4.戦後政治とマス・メディアとの関係について, 長谷川如是閑・馬場恒吾・の新聞論を中心に分析した. 5.残された地域社会との関係などを含め, 『戦後保守体制の成立と政治指導の特色』を公刊予定である.
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