研究概要 |
前年度に整理作業を完了した国策研究会旧蔵美濃部洋次関係文書を中心に資料研究をすすめた。1942年11月27日に設置された臨時生産増強委員会については、前年度までに検討をすませた第11回委員会(1943年3月25日)までの議事内容にひきつづき、第12回委員会(1943年4月5日)から第24回委員会(1043年8月13日)までの議事内容につき検討をおこない、これを太平洋戦争開戦以降の軍需生産の歴史の中に位置づける試みとして以下の構成からなる草稿を準備した。(仮題「太平洋戦争期の生産増強政策」) 1.初期作戦期における軍需生産 2.攻守転換期における生産増強政策 a.船舶徴傭の推移 b.臨時生産増強委員会の活動 3.重点産業における生産増強対策 a.鉄鋼 【i】) 八幡滞貨処理問題 【ii】) 小型溶鉱炉の建設 【iii】) 増強産対策の効果 b.石炭 【i】 )挙国石炭確保運動 【ii】) 石炭生産と石炭輸送 C.造船 d.軽金属 4.航空機生産最優先政策への移行 a.国内態勢強化方策 b.軍需省設置と軍需会社法 以上の準備と並行して、前年度にひきつづき鉄鋼、石炭関係資料の収集をすすめ、生産力拡充計画や下請工業の実態、統制会や価格統制,物資統制など、生産増強政策と密接に関連する諸問題の検討をおこなった。また、美濃部洋次文書全般につき当該期の行政史に詳しい塩崎弘明教授の精査をうけることができた。来年度にかけて、収集した大量の統計資料のデータファイル化を進行させていく予定である。
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