研究概要 |
生産方式と原価管理の関係について, 2年間にわたって国際的な視野のなかにおける日本企業の原価管理の実態の位置づけを試み, 以下のような成果を得た. (1)日本企業では, 多品種少量生産化がこれまでも他の国々に較べて最も進んでいたが, 今なおその傾向が進展している. しかもその傾向は, 組立生産だけでなく, 機械的進行生産, 化学的進行生産というこれまで大量生産-大量消費が中心であった産業にまで波及してきていることが実証, 観察できた. (2)米国, カナダ企業の現状は, これまでの所謂大量生産-大量消費という枠組みから出ようとする試みは見られるが, 現状はまだその枠を出ていないようである. ここに, 現在の両国の市場ニーズの変化への企業の対応の遅れが見られる. (3)原価管理についても, 日本では会計的な原価管理の手法と生産管理的な原価管理とを旨く組み合わせて, 多品種少量生産の時代に相応しい消費者に対してきめ細かな対応をしている. (4)米国, カナダ企業では, 現在世界的な競争に対処すべく, 生産性の向上が特に重視され, その対応が迫られている. そのために, 日本的経営, 特に「かんばん方式」の導入等により, 全社的品質管理やゼロ・インベントリーに非常な関心がありそれ等の手法の導入等により, 世界的な競争に対処しようとする努力が見られる. (5)日本企業への面接調査では, 現在企業の国際化, 情報化, 技術革新等の急速な進展の影響を受け, 原価管理上も多様な問題が次々に生じ, それに如何に対応しようとしているか, について様々な意見を企業の担当者から聞き, 新しい時代の原価管理の在り方を探ることが出来た.
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