研究概要 |
今年度は、広域レベルにおける分析を中心課題として、混住化類型とその計画的課題に関する考察を行った。農村地域における混住化を、それを引き起こしている居住者で分類すると(1)内部からの混住化(集落構成員の一部が農業をやめて他の就業形態に変わるもの)(2)血縁新住民との混住化(3)来住新住民との混住化の3タイプで捉えることができる。ここでは、既存統計資料を用いて首都圏地域の類型化を実証的に行い、地域の構造を探り、計画的居住地形成の手掛かりを得ることを目的としてすすめた。分析の基礎指標として非農家率,人口増加率,非農家集団率の3指標を取り上げ、これらの指標を組み合わせることによって新旧住民混在の様相を把握できると考え、農村的類型,都市的類型,混住的類型(非農家化型,Uターン血縁型,農村団地型)の5つの類型を設定した。以上から、首都周辺地域は、一律、平均的な計画対象として捉えられるものではなく、都市的地域から農村的地域にいたるまでいくつかの実証的類型によって捉えられることが明らかになった。首都圏地域は大きくは都市ゾーンと混住ゾーンに別れ、都市ゾーンは圏域的面的な拡大の形態をとっている。一方、混住ゾーンでは、混住的類型と農村的類型の地域が市松模様を成して分布しており、分散的、個別的形態をとるのが大きな特徴である。このように混住化が常態としてみられ、各市町村が混住ゾーンのなかで個別的な変容過程をたどるであろう時、混住化現象を都市化の過渡的現象と考えることは有効ではなく、一つの地域像として混住ゾーンの中で各市町村が個別にその在り方を考えるべきであろうことがわかった。次に本年度は、上記類型毎に対象集落を選定し、集落レベルにおいて地域コミュニティに関する住民意識調査を行った。調査対象地域としては混住化が典型的に進行している地域として、茨城県の三和町,猿島町,茎崎町,谷田部町について実施した。
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