研究概要 |
今年度は昨年度行った集落レベルでの調査の分析を以下の手順に基づいて行った. (1)前年度行った広域レベルの類型化を個人ベースで分類し, 居住者タイプを設定する. (2)居住者タイプ別の属性や地域交流を分析し, 分類の妥当性を検証する. (3)居住者タイプ別の住民構成の割合から混住集落の類型化を行い, 集落類型別に地域交流を分析し, 集落内の居住者タイプの組み合わせによる適合性を検討する. 本年度行った考察は, 集落住民の対するアンケート調査の分析によるものでその具体的な方法は次の通りである. (1)居住者タイプの設定は, 時系列的に新住民であるか旧住民であるか, 農業に依存しているか否か, 同一集落内に血縁者がいるか否か, の3点を組み合わせて分類し居住者タイプとした. (2)地域交流については2つの場合を想定した. 1つは組織・サークル等の集団間での交流, 1つは個人間での交流である. ここでは, アンケート調査の実態分析より居住者タイプ別の特微を把握し分類の適合性を検討した. (3)混住集落の類型化は, 集落の中での各居住者タイプの構成比によって行った. (4)集落類型を用いて, 地域交流の特性を明らかにし, さらに, 居住者タイプの組み合わせから集落類型別の傾向を分析した. また, 住民交流に関する評価を分析し交流実態との関係を考察した. 以上から, 居住者タイプによる分類の妥当性が検証され, また, 各集落類型別に見ると非農家型では, 農家と非農家では生業形態は異にしているものの地域活動・住民交流などにおいては近似した傾向を示しており同質的集団の混在としてとらえられること. 非農家混合型では血縁新住民との混合の場合は地域交流の面では旧住民と似た傾向を示すが, 来住新住民では居住者の属性も地域交流の様態も異質であること. 血縁新住民型では, 旧住民, 血縁新住民, 来住新住民の3者が相互に居住者属性・地域交流のいずれも大きく異なった集団であること. 等が明らかになった.
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