研究概要 |
1.研究目的 太陽フレアで発生するマイクロ波バーストの強度および偏波の周波数変化をミリ波帯で観測することによって, フレアで生成(加速)される高エネルギー電子のエネルギー・スペクトルおよび磁場の極性・強さを推定し, 粒子加速と電波放射のメカニズムを考察する. 2.研究の計画と実行 (イ)偏波測定機能の付加 本研究を行う上で最も重要であるミリ波帯の偏波観測を実現するために, 既設の80GHZ強度計に偏波測定機能を付加した. これにより, 既設の17,35GHZ偏波計と合わせて, cm-mm波帯で強度とともに偏波の周波数分布の測定が可能となった. (ロ)理論計算 種々の電子分布・磁場分布に対して, 電波強度と偏波の周波数分布を計算し, 観測された分布と比較することにより逆に, 電子のエネルギー分布および磁場の極性・強さを求めた. 3.成果の評価と今後の課題 (イ)フレアで加速される高エネルギー電子の分布を, ミリ波帯の強度・偏波観測から推定する方法が従来行われなかったのは, 著しい大気吸収で精密な測定が困難であったことに起因している. ここでは独自な方法でこの困難を避け, はじめて可能とした. (ロ)電波観測から求めた電子のエネルギー分布は, X線観測から独立に求めたそれと異なっていることが判明した. この結果をどう解釈するかは今後に残された課題である.
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