本年度は予定通りミニコンピュータECLIPSE/MV/2000DCを導入し、現在は、シカゴ大学から送られたISEE-3による宇宙線観測データを収めた磁気テープ(MT)の再編集を行っている。ミニコンピュータのディスク容量は70Mbyteであるが、OSその他で使った残り約30Mbyteがデータ処理に使用可能である。元のデータは11巻のMTに収められており、データ量は約40Mbyte/巻である。このデータを、各検出器からのパルス波高を主としたもの(Eventファイル)、時間その他各イベントのpriority等を主としたもの(Livetファイル)に大別し、1日毎のデータを1つのファイルとして仕分ける作業を行っており、現在約7巻のMTの処理を終えた。1巻の処理には実時間で約2日間が必要であり、今年度中にはこの作業が終了する見込みで、この後はEventファイルに書き込んだデータのみを用いて、△E-E法による粒子弁別を行うための解析を予定している。即ち計数率その他は全て無視して、各イベントのパルス波高を4種類のモードに分けて(Flagの情報により仕分ける)、夫々を△E-E平面にプロットし、各元素のトラックを決める。目的とするフレアのうち、1980年6月21日のフレアについての処理は終了した。途中の解析から、このフレアに付随して2144ケの重元素が観測されていることが解った。この粒子数があれば、△E-E法さえ確立されれば本研究の初期の目的である特異なフレアの重元素組成の解析は十分可能であると考えられる。また他の大きなフレアでは、2〜3万ケの粒子が検出されていることが確認できたので、普通のフレアの重元素組成についても、今までの他の飛しょう体による観測を上まわる質のデータが得られる見通しがついた。
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