研究課題/領域番号 |
61460019
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福来 正孝 京大, 基礎物理学研究所, 助教授 (40100820)
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研究分担者 |
宇川 彰 筑波大学, 物理学系, 助教授 (10143538)
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キーワード | 格子ゲージ理論 / 量子色力学 / 確率量子化法 / Langevin方程式 / 数値シミュレーション / 強粒子分光学 / クォーク解放相転移 |
研究概要 |
1984〜5年に開発したるLangevin方程式による確率量子化法を用いて格子切断された量子色力学の原理的に近似によらないシミュレーションを実行した。計算の対象に強粒子の分光学的量及び有限温度に於けるクォーク開放及びカイラル対称性の回復に伴う相転移の測定である。前者に関する報告は論文(1)に示されて居り、そこで今まで無視されてきたクォーク仮想状態の寄与は大きい効果を与える事及びその殆どはゲージ結合定数の再定義として吸収され得る事を明らかにした。これはクォーク場のゲージ場への反作用を無視した従来の分光学が何故に半定量的成功を収め得たかを根拠付るものに見なす事ができる。論文(3)はこの仕事に対する最終報告でありシミュレーションを行なう為の理論上の定式化と技術的詳細及び結果の信頼性に関する種々の検討の詳細を報告したもので今後この分野で仕事を為そうとする人々に対し充分な情報を与うべく書かれたものである。この論文に於ては特にLangevin法特有の誤差を除去する方法に関する詳細な議論が与えられている。現実的な分光学的量を得る為には我々の実行したものよりやや大きな格子を用いる必要があり現在の計算機能力の限界を越えるが我々はこの仕事に於てそれら近未来の仕事に基礎を与え実現可能性を示したと考えて居る。尚論文(4)は通常採られるもう一つの型の作用(カイラル対称性は保つ)に就て上述の仕事を繰返したものであり、ほぼ同様の結果を得た。 有限温度の相転移現象に関する研究は論文(5)(2)に示されて居る。前者では物理的に重要な場合である軽いクォーク二種の場合に就て前年度に得た四種の場合と同様クォーク質量が軽い極限での一次相転移の回帰現象を示した。(理論的には従来二次相転移と想像されて居た。)強粒子-クォーク・グルオン相転移温度を現実的に決定する仕事への第一歩となるものである。
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